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角質クリア成分

表皮のターンオーバーとは、表皮の新陳代謝、すなわち、表皮を構成している角化細胞が基底層で誕生してから角層を形成する角層細胞に角化し、垢として肌表面から剥がれ落ちる過程、いわば表皮の生まれ変わりをいいます。表皮のターンオーバーによって角層が絶えず新しい角層に入れ替わることで、物理的及び化学的に抵抗力をもつようになり、微生物や有害物の侵入を防ぐことができ、外界から体を守ることができます。また、体内からの水分の蒸散を抑制することによって、正常な生命活動を維持することができます。このように、表皮のターンオーバーは生体の維持防御に重要な役割を果たしています。ターンオーバーが遅くなると、紫外線などの影響で過剰に産生されたメラニン色素が表皮に留まったり、角層が一枚ずつきれいに剥がれないことによって古い角質がたまったりして、肌の透明感がなくなってしまいます。

また、古い角層は水分も失われているため表面がカサカサになり肌あれになったり、様々な肌の老化やトラブルを引き起こしたりする原因にもなります。サリチル酸は、化粧品には0.2%まで配合することができ、古い角質を取り除き、毛穴をきれいにしてくれます。サリチル酸は、肌を引き締め、肌理を整える働きもあります。しかしながら、毎日使用するとピリピリとした刺激感が出る人や肌がかさかさになる場合がありますので、毎日ではなく、週に1日から2日くらいで使用したほうがよいです。

スキンケア化粧品

化粧水や美容液、乳液、クリームなど直接肌につける化粧品をスキンケア化粧品といいます。化粧水は90%以上が水で、その他に保湿剤や粘度調整のための増粘剤、防腐剤、肌へのなじみや浸透感をだすために界面活性剤 (可溶化剤)と微量の極性油分が加えられています。その他、pH調整のための緩衝剤、安定化剤 (抗酸化剤、金属イオン封鎖剤)、香料などが加えられることもあります。乳液は化粧水よりもエモリエント成分である油分が多く、保湿効果があります。界面活性剤 (乳化剤)を加えて乳化しているので、肌へのなじみが良く感触が良いのが特徴です。

美容液はいわゆるコンセプト成分 (美容成分)が多く配合されている乳液やジェルです。ジェルはゲル化剤を加えているだけなので、さっぱりしていますが、乳液よりも浸透感や肌なじみが悪いものが多く、クリームは約半分が油分で構成されています。油分が多いので、皮膚表面に油の膜をつくり、水分の蒸散を防いでくれます。油分としては、植物、鉱物、化学合成などの油分が用いられます。これらのスキンケア化粧品は肌のpHに近い6前後にpH調整されてつくられています。

モイスト&エモリエント 

健やかで美しい肌をつくり、保つためには「モイスト&エモリエントのバランス」が重要です。モイスト&エモリエントのバランスとは、肌の不足した水分・油分を、スキンケア(化粧水・乳液)に含まれる水分・保湿剤・油分でバランス良く補うことで肌を整えることです。

化粧品に配合されているモイスト成分である水性保湿成分(グリセリン、BG、ソルビトールなどのポリオール)を皮膚表面だけではなく角層に浸透させて保湿し、エモリエント成分である油性成分によって皮膚からの水分蒸散を防ぎます。モイスト成分とエモリエント成分をバランスよく補うことで、角層に柔軟性をもたせ、うるおいを持続させることができます。このバランスや順番を間違えると、油性成分が邪魔をして水性成分が浸透できなくなってしまい、これらの効果を発揮できなくなります。クリームをつける前には浸透力の優れたローションや美容液をたっぷり使い、水分や美容成分が逃げないように、その上に蓋をするようにクリームを薄くのばして使います。

皮膚にとって最も理想的なエモリエント成分は、皮膚表面で皮脂膜を構成してうるおいを守る皮脂そのものです。すなわち角層からは絶えず水分の蒸散が起きており、角層細胞間脂質と皮脂膜の働きにより過度の水分の蒸散がおさえられています。角層の機能が低下しすぎると、過度に水分の蒸散が起き、角層に亀裂が生じて肌荒れします。このようにならないためにも、乾燥した冬や角層の機能が低下しはじめた場合には、外部から水性保湿成分や油分を補うことで角層に柔軟性をもたせ、うるおいを持続させることができます。

角層の水分が減少し不調状態が続くと、表皮基底細胞はダメージを受けた角層を修復しようとします。そのためターンオーバーのスピードが速まり、多くの未熟で不完全な角層がつくり出されてしまいます。正常な角層を形成するのに必要なCE、NMF、細胞間脂質がつくり出されるには準備が不十分になってしまい、バリア機能や保湿機能が低下するという悪循環となります。

エモリエント成分には、イソステアリン酸などの高級脂肪酸やイソステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール、ホホバ油などのロウ、オリーブ油、ツバキ油、マカダミアナッツ油、メドウフォーム油などの不乾性油、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタエリスリチルなどのエステル油、スクワランや流動パラフィンなどの炭化水素、ジメチコン、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン油などを配合した化粧品(乳液タイプのエモリエントローションやクリーム状のエモリエントクリーム)がつくられています。使用する肌質や季節などに応じて種類や量を使い分けることでけることで、角層ら適切なエモリエント効果をもたせることができます。

角層のバリア機能

角層の細胞間隙に伸展する脂質を角質細胞間脂質(細胞外角層脂質)といい、セラミド(37%)やコレステロール(32%)、長鎖脂肪酸(16%)、コレステロールエステル(15%)からなり、多層の脂質ラメラ構造を形成しています。

角質細胞間脂質は表皮の水分と外界の空気との間のバリアとして機能し、体内からの水分の蒸散と体外からの水分の侵入を防止するとても重要な働きをしています。このバリアが傷害されると、水分が蒸散しすぎて、角層が干からびてしまい、さらに悪化すると肌荒れやアトピー性皮膚炎などの皮膚アレルギー疾患を引き起こします。

角質細胞間脂質は、その前駆脂質から生成されますが、前駆脂質は基底細胞、有棘細胞、顆粒細胞の細胞内小器官である層板顆粒(ラメラ顆粒)に貯留されています。層板顆粒の数は表皮角化細胞の分化に従って増加し、顆粒細胞では細胞質の3分の1を占めるまでになります。顆粒細胞が角質細胞に分化する際に、層板顆粒膜と顆粒細胞膜とが融合し、層板顆粒内の脂質が放出されます。その時に前駆脂質は酵素修飾を受け、その結果生成された脂質は角質細胞の間隙に伸展していきます。

角層のセラミド量は、他の臓器に存在するセラミド量の30倍以上あります。角層セラミドの特徴は量が多いばかりではなく、多様な種類の分子が存在することです。角層には数種類のセラミドが存在し、主にリノール酸がエステル結合したアシルセラミドとリノール酸がエステル結合していないセラミドがあります。セラミドは、長鎖アミノアルコールであるスフィンゴール(ジヒドロスフィンゴシン、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、6-ヒドロキシスフィンゴシン)に脂肪酸が酸アミド結合した化学構造です。

セラミドは皮膚の角質層に層状に構成されており、加齢とともに徐々に減少し、セラミド減少は乾燥肌、敏感肌の原因の一つと言われています。

保湿のしくみ

皮膚の最外層には20μm 程度の角層があります。角層は皮膚を乾燥などから守るバリア機能を担っています。角層の柔軟性は、その水分量によって変わり、10~20%のとき本来の柔軟性を示し、10%より少なくなると角層がひび割れ、肌荒れが生じるといわれています。肌を触ると柔らかく感じるのは、角層に10~20%の水分が含まれているからで、このように十分な水分を含んでいるからこそ、肌がうるおい、ハリ、なめらかさ、柔らかさを維持することができるのです。

種々の原因により角層の保湿機能が失われると水分含量が低下し、皮膚の表面は乾燥して容易に亀裂を生じ、悪化すると鱗屑や過剰な落屑を生じるようになります。さらに、肌の透明感や化粧のりの良さは角層に含まれる水分量で決められているといってもよいぐらいです。

皮膚表面を美しくきれいに保つためには、角層の柔軟性を維持することが重要であり、角層の柔軟性を維持するためには“結合水”の存在が何にもまして重要です。角層中のグリセリンやピロリドンカルボン酸、糖類などと水との結合により角層は柔軟化します。このように角層中で水をしっかり結合させた状態を保つのが水結合分子です。なかでもグリセリンは2.2g水/g乾燥重量と水をしっかり結合させる性質があります。グリセリンはトリグリセリドが分解されて脂肪酸とともに生成され、皮膚表面や角層のグリセリンは、皮脂腺でのトリグリセリドの分解や表皮角化細胞での角化に伴う脂質代謝によって生成されます。頬表面でのグリセリン量は0.7 μg /cm2と報告されているので、皮脂膜の厚さを0.5μmとすると、およそ1.4%のグリセリン溶液で皮膚表面が覆われていることになります。

したがって、角層を含め皮膚表面では、水をしっかり結合させた状態が保たれていると考えられます。しかし、水結合分子が減少した角層では、保水力が低下して乾燥しやすくなり、また、光の透過率も低くなり、肌の透明感が減少します。皮脂膜には、このほかにトリグリセリド、脂肪酸、ワックスエステル、スクワレンが含まれています。また、皮脂膜には、汗の中の乳酸、アミノ酸などが含まれており、pH4.5~6.5の弱酸性に皮膚を保つ働きもあります。皮脂は一定の厚さになれば分泌は止まるようになっているので、個人差はありますが、洗顔後は30分ほどで元の角層水分量に戻り、1時間ほどで元の皮脂量にもどります。

肌のバリアとしての皮脂

肌のバリアとして重要なのは適度な水分を含んだ角層と皮脂腺から分泌され角層の表面を覆っている皮脂です。皮脂は油の膜を角層表面につくって、水分が角層から蒸散しないようにしているのです。おもしろいことに、皮脂を拭きとっても、30分後にはまたもとの量まで回復します。それだけ、皮脂は角層からの水分の蒸散を防ぐという重要な働きをもっているのです。

赤ちゃんや幼児が、大人が平気な石鹸やボディーソープでも、腕や背中が肌あれしやすいのは皮脂の分泌が少ないからです。特に、冬は気温が低いので、皮脂分泌は非常に低くなります。鼻では皮脂の分泌が多いので、アトピー性皮膚炎の人で鼻にだけ湿疹ができない人もいます。皮脂はトリグリセリド(41%)、ワックスエステル(25%)、脂肪酸(16%)、スクワレン(12%)、ジグリセリド(2.2%)、コレステロールエステル(2.1%)、コレステロール(1.4%)などから構成されています。

冬は夏に比べて、トリグリセリドや脂肪酸の割合が減少し、スクワレンの割合が増えます。スクワレンは酸化されやすい性質があります。冬に乳液やクリームが必要になるのは、不足する皮脂を補うためです。皮脂の代わりになる乳液・クリームに配合される油分としては、オリーブスクワランやホホバ油、ワセリン、シリコン油、高級アルコールなどがあります。

グリセリンの保湿効果

肌の一番外側の角層は、私たちの体から水分が蒸散するのを防ぐとともに、外からの異物が入ってくるのを防ぐ重要な働きをしています。角層は1μmほどの平らな角質が10層~20層重なった構造をしており、髪の毛の断面の1/10ほどの厚さです。

湿度の低い冬では、最外層の角層では水分がなくなり、乾燥してひび割れしてしまいます。ひび割れするとそこから体の水分が蒸発したり、異物が侵入してアレルギー反応を起こしアトピー性皮膚炎になります。角層は水を含むとしなやかな柔軟性をもちますが、乾燥するともろく壊れやすいのです。角層には適度な水分が必要なのです。

グリセリンは角層の水分を保持する機能が高く、角層をしなやかにしてくれます。ほとんどのスキンケア化粧品には1%~10%のグリセリンが入っており、しっとりタイプ・さっぱりタイプの化粧水であれば、しっとりタイプには5~10%のグリセリンが入っており、さっぱりタイブでは3%以下です。スキンケア化粧品の保湿効果はグリセリンの効果といっても過言ではないほど、グリセリンはスキンケア化粧品にはなくてはならない存在なのです。

5%程度のグリセリンが入った化粧水で毎日スキンケアするとよいでしょう。ただ、グリセリンの欠点はベタつくことです。ベタつきをなくすためにアルコール(エタノール)を配合したり、グリセリンの配合量を下げ、代わりの保湿剤[1,3-ブチレングリコール(BG)、ジプロピレングリコール(DPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、トレハロース・エリスリトールなどの糖類]を配合したりと様々な処方のスキンケア化粧品が販売されているのです。

Maeda-lab.com

Aesthetic Science Research Lab., Tokyo University of Technology in Japan