最先端化粧品科学

beluluメーキャップ

メーク落としと洗顔

メーキャップ化粧品は、皮膚に対する付着性を高くし化粧崩れを防ぐように設計されていることが多いので、石鹸や洗顔フォームなどの洗顔料による洗顔だけでは完全に洗い流すことが難しいのです。そこで「メーク落とし (make-up cleanser, make-up remover)」と呼ばれる化粧品が市販されています。日本では一般的に、メーク落としで皮膚に付着した顔料・油分などの化粧品成分を溶かし出すように除去してから、洗顔料で洗顔する「ダブル洗顔」が行われています。では、なぜダブル洗顔が必要なのでしょうか。それは、メーク落としによるクレンジングと石鹸や洗顔フォームによる洗顔は、落とすものが違うからです。化粧をしている人が日常生活で肌につくものに、メーキャップ化粧品や酸化した皮脂、汗、古い角質[一般に垢 (あか)といわれるもの。]、ほこり、細菌などがあります。

洗顔料は酸化した皮脂、汗、古い角質、ほこり、細菌など落とす働きがあります。メーク落としによるクレンジング洗顔は、メーキャップ化粧品に多量に含まれる油性成分を落とすのに必要です。特に、耐水耐汗性の機能が向上したメーキャップ化粧品は非常に落しにくい剤型になっているので、専用のメーク落としが必要になります。メーク落としには、オイル、クリーム、ジェルタイプ、ローションの各剤型があります。オイル、クリームには高い洗浄力がありますが、ジェルやローションには高い起泡力がある反面、メーク落とし効果は弱いという欠点があります。

メーキャップ(メークアップ)化粧品は何でできているの?

口紅やファンデーション、マスカラ、アイシャドウなどのメーキャップ化粧品は、顔料 (有機、無機、パール顔料など)を種々の基剤中に分散させたものです。基剤には、流動パラフィン、ワセリン、ワックス類、スクワラン、合成エステルなどの油分やグリセリン、プロピレングリコールなどの保湿剤、界面活性剤などが用いられます。このほか、ポリマー (皮膜剤)、防腐剤、酸化防止剤、香料などが配合されます。

beluluサンケア

UVAの役割

しみは表皮基底層にあるメラノサイトでメラニンが過剰に生成され続けることによって発生します。皮膚には、メラノサイトに「メラニンを作りなさい。」と指令する物質と「メラニンを作るのをやめなさい。」と指令する物質と存在します。中波長紫外線(UVB)が引き起こす炎症によって、「メラニンを作りなさい。」と指令する物質が増えて、メラノサイトを刺激してメラニンが過剰につくられ、さらにメラニンが角化細胞に取り込まれて、大きなメラノソーム複合体となって肌が黒くみえるようになります。太陽紫外線には、より波長の長い長波長紫外線(UVA)もありますが、UVBもUVAも真皮浅層まで到達します。皮膚の細胞のDNAを傷つけるのはUVBです。

そもそもメラノサイトが作ったメラニンは角化細胞に取り込まれて、角化細胞の核を守るために、帽子のように核の周りに配置されます。これはメラニン キャップといわれていますが、これ以上核にUVBがあたらないように、メラニンが核を守るための細胞の防衛機能なのです。UVBのDNA傷害に対する即座の防御機能に即時型黒化があます。これは主にUVAによって一時的に肌が黒くなる現象で、UVBによる傷害から皮膚を守る働きがあります。

夕陽は肌に良い?!

日中の強い陽射しには、肌に悪いUVBとUVA2が多く含まれているので、直射日光にはあたらないほうがよいです。逆に夕陽にはUVBとUVA2がほとんどふくまれず、肌に良い黄色・赤色の光の割合が多い (表1) ので、夕陽が出る時間帯の外出は肌を若く保つためには良いのです。赤色光は皮下脂肪まで到達し、脂肪の代謝を促進したり、真皮のコラーゲンの合成を増加するとも言われています。


太陽光の照射分布 (2011.7.10 八王子市)
300-320nm (UVB) 0.3%(12時) 0%(18時)
320-340nm (UVA2) 1.1%(12時) 0.1%(18時)
340-400nm (UVA1) 5.5%(12時) 0.6%(18時)
400-580nm (紫~黄緑) 44.7%(12時) 25.1%(18時)
580-800nm (黄~赤紫) 48.4%(12時) 74.2%(18時)

紫外線(UV)の肌への作用について

「UVBは表皮まで、UVAは真皮の深いところまで到達し・・・」といった表現を化粧品会社のWebで拝見しますが、実はUVBもUVAも真皮まで到達します。真皮浅層にはUVBもUVAも浴びた量の約10~20%到達しますが、深層にはどちらも到達しません。UVBの作用はUVAよりも1000倍以上強く、UVBは炎症を引き起こすだけではなく、コラーゲンやエラスチン等の真皮の繊維を変性させます。UVAは340nmより短波長のUVA2と340nmより長波長のUVA1に分ける場合がありますが、UVA2はUVBと同様に防ぐ必要があります。UVA1を防ぐメリットがあるかどうかは現在研究中です。

Maeda-lab.com

Aesthetic Science Research Lab., Tokyo University of Technology in Japan