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肌のくすみ

肌のくすみとは、肌に透明感がなく、明るさやつやを感じられない肌状態のことです。角層の水分量低下や肌荒れによる肌理の乱れや角層の重層化、血行不良による赤みの減少、メラニン量の増加による明度の低下などの要因が複合して、引き起こされると考えられています。肌のくすみには、一時的な体調不良や精神的ストレスのほか、紫外線の影響の蓄積、加齢による機能低下なども関与していると考えられています。くすみの改善には、まず血行を促進することが効果的です。そして、角層の水分保持機能を高め、メラニン量を減らし、角層の正常な剥離を促せばくすみは改善します。

肌の見え方は、角層、表皮、真皮の光学特性、すなわち、皮膚内で光がどのように吸収、散乱されるのかで変化します。角層においては、1)皮脂や肌理などの表面構造によって影響を受ける拡散反射、2)角層中の水分や脂質の量によって変化する透過率による角層内部を通過する際の光の減衰、3)角層、表皮、真皮の厚さ、などが肌の見え方に影響を与えます。

皮膚がどのように見えるのかの「肌の見え方」には、皮膚に入射した光が皮膚内でどのように散乱し、出射されるのかの「表面下散乱(Subsurface Scattering)」が重要な役割を果たしています。入射した光の6%が皮膚表面の皮脂で反射し、残りの94%が皮膚の影響を受けます。皮脂を透過した光はほとんどが表面下散乱の影響を受け、残りが吸収されます。皮膚内で散乱を何回も繰り返した光(多重散乱光)は、再び表面まで戻り、最終的には散乱光として観察者に認識されます。散乱の回数が多いほど、光が伝播する方向はばらばらになります。

皮膚は細胞や組織等が複雑な構造をなしているため、強い散乱体であり、その特性は、光が散乱して再び出てくるまでの距離と光が吸収される頻度によって主に決定されます。また、皮膚に垂直に入射した光がどのような拡散光となるのかを調べると、遠くに行けば行くほど赤が強く残り、緑、青の順に拡散半径が小さくなります。これは「拡散プロファイル (Diffusion Profile)」と呼ばれています。したがって、肌の見え方には拡散プロファイルも考慮する必要があります。

角質層、表皮、真皮の主な光吸収、散乱分子には、ユーメラニン、フェメラニン、オキシヘモグロビン、デオキシヘモグロビン、ビリルビン、β-カロチン、タンパク質、脂質、老化酸化物、水などがあります。

ビタミンCは内服と外用でどちらが「しみ・そばかす」に効果があるのでしょうか?

ビタミンCは内服で「しみ・そばかす」に効果が期待できます。厚生労働省の 「ビタミンCの食事摂取基準」によると、一日の推奨量は約100mg(イチゴ5~6個ぐらい)です。一度に多量に摂取しても、ビタミンCが多量に吸収されるわけではありません。一日数回に分けてビタミンCを多く含む食品を摂取するようにしましょう。ビタミンCは不安定で壊れやすく、黄茶色に変色してしまうので、化粧品に配合されているビタミンCは、安定にした誘導体が主に配合されています。安定型ビタミンCの効果はビタミンCの効果よりも著しく弱いので、安定型ビタミンCには「しみ・そばかす」を薄くする効果は期待できません。イオン導入によってビタミンCを皮膚に吸収されやすくすると、外用でも効果が期待できまると思われがちですが、ビタミンCそのものが分解されやすいので、これには高度な技術が必要です。

しみの原因

顔や手背(手の甲)にできるしみのほとんどは紫外線が原因です。夏は日中、朝夕を除きUVBが多く、一日一時間ほど浴びても、それを数年間続けると、数年から数十年後には露光部位にしみがでてきます。例えば、10代で日焼けを繰り返した人は、30、40代で日焼けした部位にしみがでてくるということです。紫外線が原因のしみは紫外線曝露部位だけにできるのが特徴で、紫外線があたっていないところにはできません。しみの原因となる紫外線はUVBであり、UVAではありません。日焼けすると赤くなって黒くなりやすい色白の女性は、日光を浴びすぎると、しみができやすく、目立つので、若い時から浴びすぎないようにしましょう。露光部位にできるしみは医学的には日光性色素斑(老人性色素斑、日光黒子)といい、色素斑型と黒子型に大別されます。悪化して濃くなったしみは、表皮だけでなく真皮にもメラニンが落ちて存在するようになるので早めのケアが必要です。しみは、表皮に存在するメラノサイト(メラニンをつくる細胞)がずーっとメラニンを過剰につくり続けているのが主な原因です。なぜ、メラノサイトが必要以上にメラニンをつくりつづけているかの詳細なメカニズムは未だ解明されていません。

美白化粧品(医薬部外品)としみ・そばかす用医薬品の効果について

美白化粧品(医薬部外品)と表示されている薬用化粧品の効能はほとんどが「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」で、これは紫外線によるしみ・そばかすを防ぐという効果で、できてしまったしみ・そばかすを薄くする効果については、厚生労働省は認めていません。ですから、今販売されている美白化粧品を塗り続けても、しみ・そばかすを消し去ることは期待できません。ビタミンCやシステインを配合した内服医薬品の効能に「しみ・そばかす」と記載されていれば、その医薬品を内服することで、しみ・そばかすを薄くすることができます。

Maeda-lab.com

Aesthetic Science Research Lab., Tokyo University of Technology in Japan